糖尿病の人では血糖値は食前と食後では100mg/dlくらい変わるのは当たり前なので血糖値がいくつというだけでは、その人の血糖状況を表すのは難しいことになります。たとえば、血糖値が200mg/dlの人がいたとします。食後1時間の血糖値が200の場合と食前の血糖値が200の場合とではぜんぜん違うというくらい血糖状況は異なります。そこでHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が登場します。最近は健康診断でも測定されることが多いのでこの検査項目のことをご存知の方はたくさんおられると思います。
  HbA1cは血液中のヘモグロビンという蛋白質の糖化反応の程度を見る検査で、血糖値が高い状況が続けば糖化反応が進むためパーセンテージが上昇することを利用し、血糖状況の指標に用いられています。血液中のヘモグロビンの寿命が120日くらいなので、この指標はおよそ1-2ヶ月の血糖状況を反映するといわれています。したがって、昨日たくさん食べても、今日まったく食べてこなくても結果に影響は出てきません。診察前の3日間摂生しても結果にはさほど影響しないことになります。
  正常値は5.8%以下となっていますが、正常の人は5.0%前後です。5.5%を超えている場合、ブドウ糖負荷試験をすると正常型であることは少なく、境界型であることが多いのが現状です。6.1%以上の場合、糖尿病と診断する基準のひとつになりますが、HbA1cの数値を聞いてもあまりぴんと来ない方が多いのでわかりやすい理解の仕方をお示しします。
  HbA1cの数値に30を足して熱だと考えてみてください。7%なら37度、9%なら39度、といった具合です。HbA1cが9%というは、実はずいぶん高い数値なのですが、7%と9%では2しか変わらないのでそれほど高くないと思われてしまいますが、37度と39度と考えていただければ、その2の差の意味がわかっていただけるのではないでしょうか?
  10%を超えるということは相当高いことになりますが、2型糖尿病の場合は、このくらいの血糖値になっても初めてであれば、食事療法と運動療法だけで5%前半に下げて、それを維持されている方も多数おられます。しかし、HbA1cが2桁で数年間続いてしまうとそこから薬無しで下げるのは難しいのが現状です。その理由はブドウ糖毒性ということになるかと思います。