検診で"少し高い"は大丈夫?

検診で一番重要なのは、結果の解釈です。血液検査のデータは正常値が書いてあるので医師でなくても高いのか低いのかはわかります。正常値というのはたくさんの正常な人のデータを集めてきて、その平均から決まっているものなので正常範囲から外れている=異常というわけではありません。
逆に正常範囲でもぎりぎりという場合、危険信号であることも十分にあります。それが、血糖値やコレステロール、中性脂肪、肝機能の数値であった場合、危険信号と考えなければなりません。
これらの結果は生活習慣に原因があることがほとんどなので、正常ぎりぎりか少し正常値を超えたあたりが本当は治療開始するポイントです。非常に悪い状況になる前に必ず、悪くなり始めの状況があります。そのときに治療を開始すれば少し気をつけていくだけで済むことがほとんどです。早期発見早期治療が重要ということです。
検診の結果がずいぶん悪かったため来院した患者さんに過去の検診の結果を持ってきてもらうと、3年前や、5年前に治療をはじめていれば、こんなに大変な治療をしなくても済むのにと思うことが多々あります。せっかく検診を受けていたのにもったいないとも思います。
結果の説明のときに医師から、体重を減らして、運動をしなさいと指示された経験のある人もずいぶんいるのですが、翌年の検診のときに、結局体重も変わらず、運動もしていないという人がほとんどです。
 その理由は、なんでしょうか?いろいろあると思いますが、"コーチ"がいないことが一番の原因であると思います。
生活習慣病は自己管理といいますが、自分で自分を管理することぐらい難しいことはないでしょう。会社で成績が悪ければ上司に怒られたり、給料に響いたりしますが、体重が変わらなくても運動しなくても誰にもなにも言われないということです。体重を減らして運動をするといわれただけで、それができる人が多ければ、こんなに生活習慣病が増えていないはずです。
 検診で少しでも異常を指摘された方は来年の検診で異常といわれないで済むように、自己管理を手伝ってくれる(コーチしてくれる)専門医にかかることをお勧めします。生活習慣の改善は簡単ではありませんが、その人の努力が一番少なくて済む指導をしてくれるはずです。そのほうが自分ひとりでやるよりも上手くいくのは当然ですし、なによりも間違ったことをしないですむことは重要なことだと思います。